― 契約前に施主が知っておくべき現実 ―
家づくりを考えるとき、多くの方は「どんな家を建てるか」「どんな間取りにするか」といった完成後のイメージを中心に検討を進めると思います。
一方で、**「工事の途中や、建てた後に何が起きる可能性があるか」**については、あまり意識されないことが多いのではないでしょうか。
工務店の倒産は、特別に問題のある会社だけに起きる出来事ではありません。
このページでは、施主として最低限知っておきたい工務店倒産の仕組みと、完成保証の現実について整理します。
工務店の倒産は珍しい話ではありません
「評判の良い工務店だから大丈夫」
「長年やっている会社だから安心」
そう思いたくなる気持ちは自然ですが、技術力や評判と、経営の安定性は別物です。
住宅会社は、
・受注がなければ売上が立たない
・工事期間が長い
・人手不足や資材価格の影響を受けやすい
といった特徴を持つ業種です。
そのため、外から見て順調そうに見えていても、資金繰りが一気に厳しくなることがあります。
倒産は、「ある日突然起きるもの」ではなく、見えないところで積み重なった結果として起きるという点を知っておく必要があります。
なぜ「良い家を建てていても」倒産するのか
施主の立場から見ると、「きちんとした家を建てているのに、なぜ?」と感じるかもしれません。
しかし、住宅会社の経営は、1棟ごとの利益がそれほど大きくないケースが多く、次のような影響を受けやすい構造になっています。
- 原材料や設備価格の上昇
- 職人不足による人件費の増加
- 手戻り工事や想定外のコスト
- 工期の遅れによる資金繰り悪化
これらが重なると、「仕事はあるのにお金が回らない」状態に陥ることがあります。
良い家を建てていることと、経営が安定していることは必ずしも一致しません。
この点は、施主として冷静に理解しておく必要があります。
「完成保証があるから安心」と思っていませんか
工務店の担当者に、倒産した場合の補償について確認すると、
「完成保証に入っているから大丈夫です」と説明されることが多いと思います。
完成保証は、工事中に住宅会社が倒産した場合、別の会社が工事を引き継ぐ仕組みです。
ただし、完成保証は万能ではありません。
完成保証は「何も起きない魔法の保険」ではなく、一定条件下で機能する仕組みだという認識が必要です。
倒産した場合、施主は何に困るのか
工務店が倒産した場合、施主が直面するのは次のような現実です。
工事途中で倒産した場合
- 工事が止まる
- 支払った工事金が戻らない
- 賃貸+住宅ローンの二重支払いになる
- 引き継ぎ先がすぐに見つからない
- 工事費用が変わる可能性が高い
- 雨養生不足等での構造劣化リスク
引き渡し後に倒産した場合
- 定期点検が行われなくなる
- 不具合時の相談先がなくなる
- 工務店独自の保証は、原則として受けられなくなる
※ 法律で定められた瑕疵担保責任保険など、一部の第三者保証を除き、住み心地や性能に関する保証は残らないケースがほとんどです。
施主としてできる現実的な向き合い方
工務店の倒産を100%防ぐ方法はありません。
しかし、リスクを理解したうえで判断することはできます。
- 完成保証の内容を過信しない
- 契約前に「万が一」を想定する
- 経営と施工を切り分けて考える
「知らなかった」という理由での後悔することは避けられます。
まとめ
- 工務店の倒産は珍しい出来事ではない
- 技術力と経営の安定性は別問題
- 完成保証は過信せず、仕組みを理解する
- 判断軸を持つことが、最大の対策になる
このサイトでは、こうした内容を施主の立場から、ひとつずつ整理していきます。
次は、完成保証で本当にカバーされる範囲について、もう少し具体的に解説します